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酒はしづかに飲むべかりけり

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「誰が袖」

短歌

✰ 「誰が袖」に 若かりし母 偲びけり 
 
      秘め事めきたる 匂ひ美し

✰ ぽつねんの 家居は寂しと 老いて知る

        病む夫のそば 昼寝も楽し

✰ 食事ごと 「美味しかったよ、有難う」

         夫は変らぬ 静かなる人

✰ 紫陽花の 葉裏につきたる 空蝉の

       茶色の脚の 猛く鋭かりぬ

✰ 新卒の 孫の就職 めでたけれ

     「AIに負けるな」「偏食すな」

✰ 昭和二十九年 初給料は 一万円

        男女同額 嬉しかりけり

✰ 韓国の 対日批判 烈しかり

       GSOMIA破棄 迷妄ふかし

✰ かりん大会に 出席せざる わがために

      資料のあれこれ 届きて嬉し

✰ 日本は 堪忍袋の 緒が切れて 

  真珠湾奇襲せりと教へられたり十歳の時

✰ 詠み人を 知らぬ歌こそ をかしけれ

     ネームバリューに 深読みすらし 
   

    

# by murasakisikibu-s | 2019-09-02 16:45 | Comments(0)

空蝉

短歌

✰ 『源氏物語』では 女人の抜け殻 小袿の

         空蝉庭の をちこちに見ゆ

✰ やは肌の あつき血汐を 好むらし

        やぶ蚊の雌は われに寄りこず

✰ いづれかと 夫に問ひなば ステーキも
 
        うなぎもよしと 文月のゆふげ

✰ 恋すてふ 「つくも髪」なる 媼あり
       
       などか侘しく をかしきものを

✰ 杖をつき 犬の散歩を 好みたる

         夫の友人 唐突に逝きけり

✰ わが命 絶えなば絶えね ながらへど

        命をかけて  せしこともなし

✰ 人間は 破壊と建設 繰り返し

       仮想の敵国 つくりて 備ふ

✰ エアコンの 除湿と冷房 切り替へつ

      二十四時間 息づく翁と媼

✰ 酢ムリエの 創作デザート ビネガーを

     炭酸水にて 割れば夏めく

     


# by murasakisikibu-s | 2019-08-06 12:08 | Comments(0)

パンセ

短歌
✰ 若き頃に 実存哲学 広ごりて
     
       喫茶パンセに 談論風発懐かし


✰ 若人の ジーンズの破れ 見事なり
   
   昔の母親ならば 夜なべして繕ひけむを


✰ 上皇と 同じ齢(よはひ)の弟よ
      
          運転免許を 返納すべし


✰ 町田では 一番旧き 古書の高原書店
      
       然らぬ顔にて 店を閉ぢにき


✰ 薬師池に 光源氏とふ  花菖蒲
     
     名にし負ふかな 濃紫匂へり
 

✰ 小田急線 サラリーマンの 立ち話
     
      ヒエラルキーの 解りてをかし


✰ 梅雨寒し 衣類の出し入れ 迷ひけり

    「もういいかい」と ドクダミに問ふ


✰ 街路樹の 西洋栃ノ木 マロニエの

   花の匂ひは 妖しかりけり


✰ 無人なる 暗き立体駐車場 運転の

      娘頼もし されど僅かに怯ゆ


✰ 梅雨寒の 夫の検診 打ち添へば

     顔色わろぶ 紅させと言ふ

       







# by murasakisikibu-s | 2019-07-04 16:21 | Comments(0)

青嵐

短歌

✰ 青嵐(あをあらし)青葉の茂り 吹きわたる
       
          涙腺手術の 医師は若かり


✰ 町田駅 乗り換ふる道 高架橋

       ピタゴラスの定理 いつも思へり


✰ 夫病めば 数多の薬 飲まされぬ

       吾子は減すこと 医師に問ひをり


✰ 何せうぞ 夜更けに独り 物狂ひ

     ゴルゴンゾーラの 臭き香を嗅ぐ


✰ ためらはで 剪定鋏 入れたれば

        数多の薔薇の 咲き揃ひけり

✰ 散り荒ぶ 薔薇の命の 哀しかり

        うき世になにか 久しかるべき
 


✰ 君知るや 「春のうららの 隅田川」


       源氏の「胡蝶」に詠みける歌とふ


✰ 満開の 滝廉太郎の「花」美し

       詞は紫式部の 詠みける歌とぞ

✰ 予約から 四時間遅れの 受診なり 

       大病院ほど 待たさるるらし

✰ 農水産省 元事務次官 大切な

      子息を殺せり 熟慮断行悲し


      

      


        

       


# by murasakisikibu-s | 2019-06-05 20:11 | Comments(0)

令和

短歌

✰ 切れ目なき 時の流れを 元号で

       区切りて日本は 令和となりけり

✰ 天皇が 国民統合の 象徴なれば

     元号法も 然(さ)はれめでたし

✰ 「令和」には 穏和で優美な かをりあり

      然れど大伴旅人は 反権力ぞ

✰ 国会の 討論番組 面白し

    「○○ありき」と確実過去の助動詞使ふ

✰ 『桜は本当に美しいのか』アンチ・テーゼの

     水原紫苑の愛犬 その名はさくら

✰ 老いたれば 娘と歩く 桜みち

        手首は確と 握られてをり

✰ 若葉美し 電車乗り継ぎ 義弟義妹は

      夫婦四人で 夫を見舞ひ呉れたり

✰ 妹が セピア色なる 写真見すれば

     ベッドの夫は 笑ひ爽やぐ

✰ 水色の 「長形3号」 封筒に

    かりんの詠草 10首を入れぬ

✰ 老ゆるふたり 新茶の針の 深緑

    しまいの雫の 一滴を愛づ 


    

# by murasakisikibu-s | 2019-05-05 16:13 | Comments(0)