酒はしづかに飲むべかりけり

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引き際

短歌

✰ 引き際の 美学が胸を 過(よぎ)るなり

       終止符を打つ 悦びあらむ

✰ 引き際の 美学が心 過るなり

      成り行きまかせの こしかたを悔ゆ

✰ 能・狂言の 「静中の動」 見せばやな

       東京五輪の 開会イベント

✰ 若鮎に 竹串打ちて 焼きたれど
  
       苔は匂はで 香魚にあらじ

✰ いつとなく秋の気色(けしき)となりにけり

       金木犀の ほのかに薫る

✰ 神無月 賀状のお礼と 電話あり

        九十七歳の 旧き友なり

✰ 歌読みて あれこれ述べて 省みる

    わが心は貧し 言葉も貧し

✰ 生殖が 終れば死ぬる 自然界

     人間のみが 長命のぞむや

✰ 二十年前 網膜剥離の 手術せり 

   我は右眼を 樹木希林は左目とや


✰ ブラームスの 「眠りの精」は優美なり

   シューマンの遺児に 眠れ眠れと  


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# by murasakisikibu-s | 2018-10-07 17:11 | Comments(0)

本質を

短歌

✰ 歌詠みて わが本質を 曝しをり
       
       小さき器を 繕ひはせじ

✰ そこかしこ 水引草が はびこりぬ
       
       慎ましき花と 欺かれをりき

✰ 地下三階 ギンザシックス 能楽堂
       
        栄枯は徒か 「邯鄲の夢」

✰ ほろ苦き 「秋刀魚の味」の 懐かしや
       
        葡萄の酒を 求め帰りぬ

✰ 会ふたびに 最敬礼を たまふ翁
       
        高松宮家に 仕へけりとふ

✰ 湯上りに 冷えたるくずきり 黒蜜と
       
        よそへば美しき 切子の器

✰ 防衛費 過去最大の 予算とふ
       
        首都の上空  米軍機飛ぶ 

✰ 幾許の 余生か知らねど 老ゆるどち
       
        今日は客人 来る予感あり

✰ 人の世は 永し短し 輩も
      
      枯れ葉散るごと 死ににけるかな

✰  身辺を 整へ行かな 輩の
   
     独り一人が 何処にか去ぬ

      
    

    
     

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# by murasakisikibu-s | 2018-09-02 21:02 | Comments(0)

邯鄲

短歌

✰ 人の世の 栄華は「黄粱一炊の夢」

      能楽堂に 「邯鄲」を観る

✰ 暑気払ひ 粋な計らひ 賑ははし

      夫を忘れて 梯子酒せり


✰ 大雨は 復讐のごと 荒れ狂ひ

     人の生活(たつき)を うち壊しけり 

✰ 題詠の 「恋」を競ひし 王朝の

    歌合はせのごと 言の葉選ばむ

✰ 「疎まれぬ」れは未然形か 連用形か

      それが解らぬ ぬは打消や

✰ 携帯の 電話大手は 賢かり

     忠誠誓はす スマホの「縛り」

✰ あなかしこ 葬祭ホールの 積立金

      完了せりと 通知ありけり

✰ 恋の歌 をかしう詠めば たのしかり

     眺めせしまに 媼となりぬ

✰ 酷暑の日 生物学者の 講義では

    「霜柱の話」 すこし涼しかりき

✰ 広島の 被爆七十 三年目

    例年のごと 核兵器廃絶を誓ふ 


✰ 地下三階 ギンザシックス 能楽堂
   
     栄枯は夢か 「邯鄲」を観る  


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# by murasakisikibu-s | 2018-08-06 16:38 | Comments(0)

『柿生坂』

短歌

✰ 『柿生坂』一気かせいに 読みにけり
        
        諧謔・柔軟・深遠なれば

✰ 歌詠まず 読むこともせぬ 九十歳
        
        夫の机に 『柿生坂』置く

✰ 日傘さし 梅雨の銀座を さすらひぬ
       
       桜桃忌のけふ 『斜陽』読みたし

✰ 平成の 終りの年の 銀座吟行
       
        梅雨の夕べに 安酒を飲む

✰ 名を捨てて 実を取りたる サッカーの
       
        対ポーランド戦 美しからず

✰ 水無月の しでのたおさの 啼く声の
       
       昨夜も今朝も けたたましかり

✰ 夫亡くし 老人ホームに 入居せる
      
         共に旅せし 友を見舞ひき

✰ 岩波の 校正職を 四十五年

       努力の人よ 老ゆれども美し

✰ ほととぎす 死出の田長と 疎まれぬ
       
       秋には茶花の名とぞ 妖しき

✰ 雨の夜の 庭へ出でゆき 歌詠まむ

       悠久の中 わが晩年よ


       

      

   

     


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# by murasakisikibu-s | 2018-07-05 17:04 | Comments(0)

侍多し

短歌

✰ 歌を詠む 自在なる砦 「かりん」には
          
      個性豊けき 侍あまた

✰ 清げなる 柏葉あじさい 贈られぬ
          
     夫の卒寿に 咲きすさびけり

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✰ 子育ては 煽てに如かずと 褒めなして
          
      育てし娘は 六十歳か

✰ 丁寧に 包装の紙 取り置けど
          
    捨てねばならぬか 循環型社会

✰ 宴会の 後にも前にも コンパクト
          
    見ることもせぬ どうでもよいか

✰ 人間の 優劣競ふは 何ならむ
         
    日大アメフト事件は 他人事ならぬ

✰ 豪胆に 見ゆる高級官僚に「性弱説」あり
          
      不起訴処分も 司法の忖度か

✰ 新聞紙 どんどん分厚の 紙になり
         
      カラー写真に 適応せねばと

✰ 春の夜や 夜更けにひとり 業平の
      
    五十六歳の 死出の歌読む

✰ さりげなく 達意の歌を 詠み遣りて
       
       風雅の君を 驚かさばや

     
     

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# by murasakisikibu-s | 2018-06-03 15:02 | Comments(0)