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酒はしづかに飲むべかりけり

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金色の・・・銀杏(いてふ)散るなり

短歌に興味を持ったのは むらさき17歳の時です。国語の先生(老紳士)が短歌に精通していられて
多くの歌人の歌を教えて下さいました。情熱的な 名授業でした。 特に私を虜にしたのは
与謝野晶子の歌でした。処女歌集(みだれ髪)
(1901年・明治34年)がその当時の日本人に大変な衝撃を与えたことはよく知られていますが、女性解放
運動にとっても重要な出来事でした。(みだれ髪)は晶子と親友の山川登美子(1879~1909)と若手の
天才歌人,与謝野寛(鉄幹、1873~1935)との間の複雑な愛がテーマになっています。
60年経た今でも何首かは覚えています。

☆ 金色(こんじき)のちひさき鳥のかたちして 銀杏(いてふ)散るなり夕日の岡に     (恋衣)

☆ やは肌のあつき血汐(ちしほ)にふれも見で さびしからずや道を説く君   (みだれ髪)


与謝野晶子の 「みだれ髪」を 英語で味わう 
東京工業大学教授・詩人  リース・モートン 

2年程まえに この本を店頭で見つけました。日英朗読C・D付きです。
  
  Beneath soft skin

  A hot surge of blood

  That you have never felt

  Are you not lonely ?

  You who teach the way

外国の方達も短歌や俳句に造詣の深い方があるようですね。5・7・5・7・7の韻律・音韻にあわせる翻訳の
単語の選択は難しいのではないかと思います。外国の文学を100%理解することは至難の業、

現在の日本人が 古代の万葉集を理解することすら難しいことですものね。言葉の背景には長い歴史
や文化、民族性等色々の要因があり、この英語訳を見ても やは肌のあつき血汐にふれも見で・・・・・
とは 似て非なり の思いがします。こんなことを言ったら、詩人のモートン先生に申し訳ないことですね。

短歌

 ☆ 新緑はうつりにけりな枯れすすき 
        われも過客やなべて旅ゆく

 ☆ 藤棚の枯れ葉まばゆし金色(こんじき)の 
       ティアラとなりて宝石を撒く

 ☆ 受賞なし罪科(つみとが)もなく凡庸に 
        一生をはるや野の草のごと

 ☆ 長命が若人たちを悩ますと 
       人口構成のグラフ告げをり

 ☆ やはらかな陽光まとふ小春日和 
         追加経済対策や如何

 ☆ 欧米を倣ひ日本は近代化 
     「坂の上の雲」われにまばゆし

 ☆ 教へ子に殿下とあだなされし兄 
       今うらぶれて呆けて悲し

 ☆ 現実を忘却のかなたに押しやりて 
         若き日のこと兄は語りをり

 ☆ 独りでは帰宅出来ぬと笑ひたり 
        兄の知性よいづこをさまよふ

 ☆ 満月を待ちくたびれて老二人 
        練り味噌つけてきぬかつぎ食む




 
by murasakisikibu-s | 2009-12-03 20:47