酒はしづかに飲むべかりけり

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忖度

 短歌

☆ いにしへの 詠み人知らずの 名歌にも
        霞ヶ関にも 忖度のある

☆ 薔薇の木の 葉のくれなゐの うれしかり
        花芽を探す やさしさにをり

☆ がたがたと 能力失せゆく 八十五歳
        人工知能は 自ら学ぶを

☆ あゆ釣りの 解禁を聞く 五月尽
       昭和の半ばの 父の友釣り

☆ 落ちてゆく 奈落の底に 落ちてゆく
       夢なら覚めよ 万緑眩し

☆ 庭の草 雑事にかまけ 取らざれば
     名も知らぬ草 すべてが愛し

☆ 電話機が 壊れて新型 求めたり
      説明書よみひとり 設定せり

☆ 小田急線 人身事故にて 停車せり
      今日も自死とや 短歌で何せむ

☆ 日本では 空気を読みて 忖度の
       機転を美徳と 教へられにき

☆ 何ゆゑに 心みだるる 花の季(とき)
       言はでものこと 言ひてせつなし 
     
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# by murasakisikibu-s | 2017-06-05 20:58 | Comments(0)

 雅かな

 短歌

☆ 雅びたる 着物すがたの 馬場あき子
     「かりん」の宴に 歌物語せり

☆ あなにやし 恩田川辺の 八重桜
       今年も娘の 車窓に眺む

☆ 乗り継ぎて 楽しみ向かふ 歌の会
       たまさか迷ふ 老いにけらしな

☆ えびね蘭 庭のをちこち 咲き初めぬ
      日向(ひうが)の友に 賜はりし花

☆ くれなゐの 椿の花の 面変はり
      日ごと朽ち果つ あな悲しもよ

☆ 達意なる 文語の歌の 雅かな
    乱るる日本語 こころ憂きかり

☆ 女(をんな)らに 革命なせし 炊飯器
     創りし会社の 凋落あはれ

☆ 詠むとふは 考ふること 思ふこと
      喪服に親しき 齢となれり

☆ まほらまの 銀座は時代の 先をゆく
    変らぬやうに 常に変はるや

☆ 洗練の 銀座らしさを 残さむと
     掟きびしき 地元の魂

☆ 藤の花 紫の色 さびしけれ
      喪服を好む 老いの狂気よ
        

       
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# by murasakisikibu-s | 2017-04-29 15:22 | Comments(0)

新作能「鶴」

短歌

☆ 善麿の 新作能の「鶴」に酔ふ
     新作ありてや 古典は輝く

☆ 赤人に 妙なる歌を 詠ましめし
     丹頂鶴の 白妙の舞

☆ 和歌の浦 潮のとどろき 浪のおと
      笛や鼓の 調べ冴えたり

☆ 華やかな 袴姿の 卒業生
      駅で見とれて よろぼひにけり

☆ 見渡せば 何がまことで なにが嘘
     エイプリルフールは 一日でよし

☆ 品川の アクアパークの 光や音
      魚も人も 非日常にて

☆ 人間に みごとな演技 見せ呉るる
     アクアパークの イルカ哀しも

☆ 文字よりも 画像データ 増え続く
      新聞各社の 競ふは侘し 

☆ 電気釜 最初に創りし 東芝は
     原発ビジネスにて 倒産の危機

☆ 「君が代」は 古今集なる 古き歌
      異国の人は 如何に聴くらむ 


神亀元年(724年)冬に、聖武天皇が紀伊国に行幸になった折に、
 お供をした山部赤人が帝の命を受けて詠んだ以下の二首が新作能
 「鶴」のモチーフになっている。

★奥つ島荒磯の玉藻潮みちて隠ひなば思ほえむかも

★若(和歌)の浦に潮みちくれば潟を無み葦辺をさして鶴(たづ)鳴きわたる
 
          
       
      
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# by murasakisikibu-s | 2017-04-06 16:18 | Comments(0)

弥生

短歌

☆ 弥生てふ 艶めく暦 めぐり来ぬ
       錦糸卵を 散らすクリムト

☆ 二階から 眺むる椿は まだ硬し
      弥生朔日 ぽっねんと紅

☆ 菜の花を からし酢味噌に 味はへば
       はるけきかなや 母の俤

☆ 父に似る 男の後に 付きゆけば
       乙女椿の 下に佇む

☆ 春一番 吹きて 裸足で飛び出せば
       薔薇の新芽の くれなゐぞ美し

☆ 「A型の インフルエンザ」と病名が
      確定せし刹那 医師は微笑む

☆ 「A型のインフルエンザ」 と告げられて
      タミフル飲まされ 罪人となる

☆ 乱調の この世にあれば 褪せはてて
     見ゆるも嬉し  美は乱調にあり

☆ 天平より 永劫にある 石山寺
       秒速あらそふ マラソンとの妙

☆ 「夫がゐて子がゐて何ぞ寂しかろ」
        独り住まいの 友は訝る 

       
     
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# by murasakisikibu-s | 2017-03-02 16:13 | Comments(0)

「君が代」は

短歌

☆ 「君が代」は みそひと文字の 古き歌
       眠られぬ夜 初句に拘る

☆ あらたまの 新年宴会 闌けゆきて
        新宿ビルに 富士の山見ゆ

☆ 陽の香り 放つきんかん 届きたり
       皮ごと齧れば ふるさと恋ほし

☆ 花の店に カトレアずらりと 並びをり
      よそゆきの顔 ホテルに行きやれ

☆ 洗ふ度 あまた抜けゆく 白き髪
     君の好みの わが夜会巻き 

☆ 静かなる 物言ひ好む われなれど
       酔ひて狂ひて 昔男を

☆ ひそかなる 恋の未練の 沈丁花
      頬寄せにけり 忘らえなくに

☆ 小夜更けて 節分の鬼 何処かたへ
       「百年の孤独」は熱燗がよし

☆ 老いぬれば 評価は要らぬ さらさらと  
       歌など詠みて 顧みはせず

☆ 在りし日の 母の齢は 知らねども 
       縞のお召の 粋な着こなし


  
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# by murasakisikibu-s | 2017-02-03 20:46 | Comments(0)